CG制作・VR制作で最も時間とCPUパワーを使用する工程が「レンダリング」です。
いかにこの時間を短くするかが短期納品のポイントになります。
現在(2016年)使用されている最も一般的な解像度は「フルハイビジョン」と呼ばれるもので、1920×1080の点で1画面が構成されている映像になります。
複雑なシーンのレンダリングでは、フルハイビジョンの1画面の出力に30分以上かかってしまうこともあります。
このようなシーンでは、1秒の書き出しに15時間かかる計算になり、30秒のシーンであれば、3週間近くもかかる計算になってしまいます。
もちろんレンダーファームを使用することで大幅に短縮する事は可能ですが、使用するCPUの数によりコストも上昇します。そこで、シーンの見直しやレンダリング設定の最適化を行うことも必要になってきます。
今回は、このレンダリング設定のひとつである「解像度」についてまとめてみます。
フルハイビジョンは、1920×1080 です。
これを小さくして出力します。解像度は点の数ですので、これが少なくなればその分、計算回数が減りますので結果的にレンダリング時間も短縮されます。
そこで、下記の解像度で出力します。
・1280×720
・1600×900
最終的な映像にする際にはAfterEffects等でエフェクトを付与する際に拡大してフルハイビジョンにします。
※それぞれ、1.5倍、1.2倍で拡大します。
レンダリング時間は下記のようになりました。
1920×1080 : 13:27
1600×900 : 07:49
1280×720 : 04:20
画像:テストしたシーン
解像度を下げることで時間短縮になっても映像のクオリティが下がっては・・・と心配される方もおられると思いますが、AEでモーションブラーや被写界深度等を付与するのであれば調整次第で映像のクオリティ低下が気にならないレベルになります。
この方法は今後の高解像度化の流れにおいても有用な場面も多いと考えています。4K、8Kはまだ先のように感じられるかも知れませんが、VR制作では4Kが既にデフォルトのようになっていますし、来年あたりには8KでのVRコンテンツ制作が始まるのかもしれません。
今後のVR制作を考えていくと、高画質・短期間の制作が可能になるノウハウが必要になってくると考えています。
ターゲット解像度 4K(3840 × 2160)
*1.5 : 2560 × 1440
*1.2 : 3200 × 1800
ターゲット解像度 8K(7680 × 4320)
*1.5 : 5120 × 2880
*1.2 : 6400 × 3600